新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント 第1.1版

改定箇所は3つ

12ヶ月目の症状の頻度に関する調査結果が追加

(第1章 P.7-8)
・診断から12ヶ月後時点で、罹患者の30%に1つ以上の罹患後症状が認められた。3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月と経時的に罹患率は低下している。
・入院中に酸素需要があった者となかった者の1つ以上の罹患後症状が認められた率を比較すると、6ヶ月時点では酸素あり群が45.7%、なし群が37.7%であり、12ヶ月時点ではあり群が36.1%、なし群が31.8%であった。 ⇨ 重症だった人ほど罹患後症状が多いが、その差は5~10%程度
・罹患後症状が1つでもあるとQOLの低下が認められた
・若年者(40歳未満)、中年者(41〜64歳)、高齢者(65歳以上)の有病率を比較すると、中年層が最も多く、次いで若年者、高齢者の順であった。
・若年者には感覚過敏、脱毛、頭痛、集中力低下、味覚・嗅覚障害が多かった
・中年者と高齢者では、せき、痰、関節痛、筋肉痛、眼科症状が多かった
【注意点】国内外における罹患後症状の定義は定まっていない。研究モデルや非罹患者との比較もされていないものもあり、解釈には注意が必要である。

12ヶ月目の呼吸器系の所見に関する研究結果が記載される

(第3章 P.12~13)
・中等症以上の患者を対象とした肺機能と画像を検討する研究では、退院3ヶ月後の時点で筋力低下の自覚50.1%、呼吸困難30.2%、倦怠感25.6%が認められた
・退院3ヶ月後の呼吸器症状の残存には、入院時の重症度と基礎疾患としての呼吸器疾患の存在がリスク因子であった
・退院12ヶ月後時点において、何らかの罹患後症状が残存していた者は13.6%であった

3ヶ月後の心臓MRI検査に関する研究結果が記載される

(第4章 P.16)
・中等症以上の患者のうち、入院中または退院後3ヶ月以内に血中高感度トロポニンが陽性か、BNP 100pg/mL以上、NT-proBNP 300pg/mL以上の31症例を対象に心臓MRI ⇨ 42%で心筋障害、26%が心筋炎であった